騒動も落ち着いたところで、さあ、島の探索に出発である。
「じゃあ、先生たちはあっちをお願いしますね。あたしはこっちを見てきますから」
「ほんとうに、ひとりでだいじょうぶ? 俺かアティか着いていこうか?」
「いえいえ。だいじょうぶです」
それより、この子たち4人に対してどっちかひとりだけ、っていう方がちょっと不安。
さすがに砂浜に子供たちだけで放っておくわけにもいかず、今度の探索は全員総出だ。
当然のように召喚獣たちもついてきてるし、もし全員で動くとなると総勢12名様の観光客の出来上がり。
「……だいじょうぶなのかよ、ほんとに?」
「プピ、ピー?」
ナップとアールをはじめ、子供たちも召喚獣も、レックスもアティも気遣わしげにを見る。
が、それは笑って受け流し、
「だいじょうぶだいじょうぶ。危なくなったら叫びますし、助けが来るまで持ちこたえるくらいなら出来ますし」
伊達に一人旅なんかやってません。
胸をどーんと叩いて云えば、やっと、レックスたちも安心――というか、諦めてくれたようだ。
各々顔を見合わせて、じゃあ、と、苦笑混じりの了承。
くれぐれも気をつけて、と、くどいくらいに念を押され、とレックスご一行は、ひとまず二手に分かれることになったのである。
林の奥に消えた彼らを見送って、は、反対方向に続く砂浜に目を向ける。
昨日、ナップとウィルの悲鳴をきいて走ってきた方向……つまり、元々自分が倒れていた場所だ。
「じゃあ、行こっか」
「ぷいぷー」
プニムを促して、いざ、歩き出す。
レックスたちには申し訳ないが、名前と出自について詐称している後ろめたさから解放され、自然足取りも軽くなっていた。
そうして、いくらも歩かないうち。
――結ばれし、誓約の術において
唐突に、耳に聞こえたその声に、
「げ」
と、はそのまま固まった。
「ぷっ!?」
プニムが驚きの声をあげる前で、あっという間に紫の光がを包む。
最初は淡かった光は、またたきひとつするかしないかのうちに、身体をすべて覆い尽くした。
――我が声に応えよ――
そうして、次にその声が響いたと同時。
「ぷぅ!? ぷぷぷぷーっ!?」
砂浜には、目の前から唐突に消えた少女を探して、おろおろと辺りを駆け回っているプニムがいるばかり、だったのである。