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第60夜【十三夜】 七
lll なつかしい、その場所へ lll




 白い光が世界をつつむ。
 銀の閃光が世界を貫く。

  ああ、やっと逢えたね。

 身体から離れる、その人の魂を見送った。
 その魂を待っていた、もうひとつの魂を見送った。

  ……やっと、貴方たちも、逢えたね。





 そう、安堵した心に。
 ぱっくりと、何かが口を開けたような感覚が襲いかかる。

「ッ!?」

 振り返る。
 すでに光に包まれて、前後左右上下、判らなくなってしまった空間の――背後を。
 ……そこには、門が空いていた。
 高密度の力のぶつかりあいが、空間を歪めたのだろうか。
 理由はわからない。

 だけど、間違いない――  それは、門だ。



「……え……」

 世界と世界を繋ぐ、門。
 その門は――



「おか……さ……?」

 いつか夢に見た。
 ずっと覚えてた。

 今も鮮明な、何年も前の記憶よりもずいぶんと、歳をとってしまったその人たちへと。
 なつかしい、遠い遠いその人たちのいる場所へと。

 繋げてくれる、門だった――




「――おとうさん、――おかあさん!!」


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