歌を、歌おうか。
ずっとずっと昔から、途絶えたままのひとつの歌を。
遠く近く、優しく哀しく。求められた真実を。
蜃気楼は揺れる。幻を覆う霞はもうすぐ晴れる。
壊された過去。汚された記憶。
打ちひしがれて傷ついて、それでも、あたしたちは歩きつづける。
そうするかぎり、先に、見えるものがあるから。
歩く道の先なんて、誰にも判らない。幸か不幸か生か死か。
判らないから、どんなにもう足を止めたいと思っても、先を求めてしまう。
歩きつづける気持ちを、消さずにいられる。
……誰もがいつだって。信じたいのは、未来なんだ。
歌に、応えよう。
遠い遠いあのときから、途絶えたままの問いかけに。
わたしは、今度こそ、応えよう。
……いつだって、誰だって。辿り着きたいのは、優しい明日の空の下。