星の光があますところなく降り注ぐ、リィンバウムの一端に。
光など要らぬと云いたげな、闇がどよりとわだかまる。
そのうちのひとつが、ゆらり、揺らめいた。
「――手はずは宜しいですね?」
「はッ」
「かしこまりました」
悪魔王たる主のことばに、悪魔たちは各々頷く。
「では、任せましたよ」
私はあの場所で、美味なるそれが集うのを、心待ちにしていますから。
そう告げて、闇のひとつがその場から消えた。
同時に。
3人の悪魔たちは、ゆっくりと顔を上げ、息をつく。
かつてに向かい合っていたときのように人の姿をとった彼らは、それでもその形を保ったまま、自然に闇へ溶け込んでいた。
ビーニャが、小さく身震いする。
「……レイム様、最近恐くナイ?」
「さて……それも無理はありますまいな。もう、定めてしまわれたのですから」
主は決めた。
道を繰り返そうと。
たったひとつを手に入れるために、他のすべてを滅ぼそうと。
そしてまた。
あの結末も――繰り返す?
嘆き。
悔やんだ。
喪失。慟哭。絶望。怨嗟。……また繰り返すのですか?
だがそれは、形にすれば即座に不興を買うのみだ。
わだかまる問いも、凝る疑念も押し包み、三悪魔はほくそえむ。
「何にせよ、我々は主の望むままに動くのみだがな……カカカッ」
「そォね。レイム様のお望みのままに――キャハハッ、せっかくだしィ、いっぱい壊して楽しんじゃおっと」
「クククッ……また我が手駒を増やすことができますなァ?」
闇の中、笑い声だけがただ響いていた――