フラットは、ここしばらくだけで、とんでもない数の居候が増えた。
名も無き世界から召喚されたという4人、彼らを召喚したという4人。
そして、後者4人の元護衛獣であったという2人。
おまけに旅の格闘少年、これは居候ではないけれど、狩人の少年とも知り合った。
挙句の果てには、危うくマーン家に買取られる寸前だった召喚獣――モナティとガウム。
……フラットの家計はだいじょうぶか?
「はい、よってらっしゃい見てらっしゃい! うまくいったら大喝采、いかなくたってご愛嬌!」
ちゃん一座の大道芸、始まるよー♪
ざわざわざわ。
繁華街の一角に陣取り、いきなり妙な口上を始めた少女に、周辺を歩いていた人間の視線が集中する。
そうして、ちらとでも少女とその一行の姿を見たが最後、目をそらせる者はいなかった。
何しろ、口上をあげてる少女からして、赤い髪に緑の眼と、実に彩り鮮やか。
その隣には三つ目の男がいるし、傍にはいつぞやの騒動を彷彿とさせるかのように両手を打ち鳴らしてる少年と、ぽんぽん跳ねてるヘンな動物と、しっぽをぱたぱた振ってる女の子がいるからだ。
こんな奇妙な一行が、常でも人通りの多い繁華街で、自ら注目を集めようとしてるのだ。
思惑通りに行かないわけがない。
「何々?」
「大道芸?」
いくつかあがる問いかけに、「はいですの!」と、尻尾の女の子が返す。
三つ目の男を除けば、いずれも朗らかな彼らの様子に、一人、また一人と、彼らの周囲に本格的に集まり始めた。
ある程度集まったところで、ぽん、と、赤い髪の少女が手を鳴らす。
「はい! それではそろそろ始めまーす!」
まずは手始め小手調べ。
「こちら、何の変哲もない動物一匹のように見えますが――」
「きゅきゅーっ」
すちゃっとガウムを抱え上げ、はぐるりと身体をまわし。ぽーんとそれを放り投げる。
くるっと丸まったガウムは、角度の急な放物線を描いて落下し――
ぼよーん。
地面に激突したかと思うと、実に軽快な音をたてて再び宙に舞い上がる。
その高さ、一度目とくらべて遜色なし。
おー、と、そこそこ関心を持ってくれたような声が周囲からあがった。
数日前のサーカスを思い出し、ああいうのが他にもいたのか、と、首をかしげたお客さん。ごめん、本人(?)なんだなこれが。
「あ、お客様方、おひねりは最後にお願いしまーす」
と云いつつも、足元に落ちてきた小銭はちゃっかり拾ってモナティに手渡す。
もらえるモンはもらって何が悪い。
ついでにもひとつ、足元に転がってきたガウムも拾う。
「それでは、続きまして、この子を――」
はい! と観客にパス。
「わっ!?」
あわてた観客――二十歳くらいの青年である――は、突然投げられたガウムに一瞬驚いたものの、そこはそれ、条件反射でナイスキャッチ。
キャッチして。
両手におさまったガウムを、まじまじと見下ろす。
「うわ……」
「どうしたの?」
横から、姉妹だか恋人だか思しき女性が青年を見上げた。
青年は彼女を見下ろすと、戸惑いがちに、けれどちょっぴり幸せそうに、
「すっげえ気持ちいい」
おまえも触ってみろよ。
「え? そうなの?」
「どんなどんな?」
彼女のみならず、周囲の人間も覗き込むなか、まず女性がガウムをつっついた。
「……すごい! 気持ちいいっ!」
やわらかくてよく伸びて、しっとりとしてそれでいて冷たすぎず、ほどよい暖かさ!
女性の感嘆の声に、わらわらとガウムに手が伸びた。
で、それを見計らって。
「終了までにはお返しくださいねー」
一声かけて、観客がガウムに集中している間にやってた準備が、終わったかどうかたしかめて。
「はい、それでは皆様こちらもどうぞご観覧くださいませっ」
そう呼びかけるの傍には、手をひらひらさせているジンガ。の足元に、積み上げられたでかい石。
石切り場で、どうしたって使いでのない粗悪なモノを選んで、いただいてきたのである。つまり元手はタダ。
粗悪といえども、石は石。
板状に加工されたそれは、一枚の厚さがおおよそ3〜5センチ。
それが20枚ばっかり積み重なってる光景は、ちょっぴり壮観。
「では、お披露目の前に――」
そこのお客様、石に細工がされてないかご確認くださいね。
手招いたのは、ガウムを触り終えて満足したぽい、さっきとは別の女の人。
ちょっぴり神経質そうなその人は、予想どおり、端から端まで石を眺めて頷いた。
「ありがとうございました。では、危険ですのでお下がりください」
「……俺っち、こういう見世物って集中できねーんだけどなあ」
だいたい、こんなブ厚いの、まだ挑戦したことねぇって。
「何云ってるの、賭け試合やってた人が」
「実際戦うのとこういうのは違うんだって」
次のが楽しみだから、俺っち出てきたんだぜ?
「んじゃ、次のために今をがんばって」
観客に聞こえないよう云い合いつつも、ジンガは石のほうに歩み寄る。
背中側のからでも判る。
立ち止まったジンガが、目を閉じて、意識を集中させている様が。
彼の発する空気に圧されてか、ざわめいていた周囲の人々も、いつの間にかささやきになり、そうして静寂が訪れる。
――誰かが、唾を飲み込む音が聞こえた。
「――――」
すう、と。
ジンガが息を吸い込む動作をした瞬間、彼の溜めていた気が突風よろしく襲いかかる。
「――ハッ!!」
ゴッ、
……おそらく、観客が目に出来たのは、振り下ろされた拳の残像くらいではなかったろうか。
気勢と同時に振り上げられたそれは、鈍い音をたてて、摘まれた石の一番上に命中する。
「・・・・・・」
しばし静寂。
――ピシ、と、小さな音が聞こえたのは、そろそろ緊迫感による緊張も薄れようかというころ。
小指の先ほどの欠片が、まず零れた。
そして、一度ほころびが生まれれば、そこを起点として亀裂は広がっていく。
――ピシピシ……
頂上の石から下へ下へ、それは伸びていく。
――パァン!
一番下の石に亀裂が辿り着くと同時、積み上げられていた石たちは例外なく、真っ二つに分かれていた。
「おおー! すっげえ力!」
「いいぞ兄ちゃんー!!」
「おう!」
さっきまでの戸惑いはどこへやら。腕をぶんぶん振り回し、ジンガは観客の賞賛に応えている。
彼個人へのおひねりのつもりか、ちらほら投げられる小銭はちゃっかりキャッチしながら。
そうして、後方に下がるかと思われたジンガだけれど。
途中でぴたりと足を止め、くるりと観客達に向き直る。
そこに、が歩み出る。
「――とまあ、素晴らしい腕力を披露してくれたこの少年、現在対戦者募集中」
平和的に腕相撲となりますが、彼と戦ってみたいという剛の方はいらっしゃいませんか?
……しーん。
そこはかとなく「おまえ行けよ」「いや、おまえこそ」とささやきが聞こえるが、誰も名乗り出る者はいない。
まあ、そんなこったろうとは思っていたので、は、しばらく間をおいただけで口上を再開した。
「いませんかー?_いませんね、残念」
そして、ジンガから数歩離れて距離をとる。
「……それでは、次に参りましょう」
「参りますですのっ」
スタンバイしていたモナティが、ジンガとにグローブを渡す。
グローブというより、一種の手甲。もちろん、手の保護が目的だ。
その行動の意味するところを察し、観客の間にざわめきが走る。
手慣れた様子でそれを装着するジンガに、近くにいた観客が、本気なのかと問いかけていた。
「おう! 本気も本気!」
にかっと笑って答えたジンガに、その観客、一瞬絶句。
だが、ジンガの後押しをするかのように、観客達の一角から声があがった。
比較的前方で、の顔もよく見える位置にいた一団だ。
「思い出した!」
「その子たち、前にもここで――」
はい、大正解。
大きく開けた人垣で作られたリングの中を、所狭しと駆けずり回るは、赤い髪の少年と少女。
ただ駆けずり回ってるだけではなく、拳が空を切る音や、外れた蹴りの風切り音も、休むことなく響いている。
――ただ。
打撃音は、一切ない。
地面に片手をついたの頭上から、ジンガが迫る。
一度ひかれた腕の先には、固く握られた拳。
避ける暇は無いとばかり、は腕をクロスさせて受ける構え。
そこに、力を溜めた拳が打ちつけられ――でも、音はしないのだ。
「こっ……怖いーっ」
「俺っちも怖いっ」
冷や汗流すのつぶやきを聞きつけたジンガの声が、拳の起こした風と一緒に過ぎていった。
「でも」、
薄皮一枚ほどの距離をおいて止めていた拳をひき、ジンガは、起き上がりざま蹴り上げてきたの足から、ひらりと飛んで身を躱す。
「こういうのも楽しいな!」
「たまにならね」
こういうの、とジンガのいうこの戦い、ルールはいたってシンプル。
『仕掛けた側が受ける側に触れたら減点1』
『避けさせるつもりの手抜き攻撃不許可』
『意図的に当たったら反則負け』
――ほら、実に簡単である。
だが、これほど神経を使うものもない。
相手が避けてくれるならまだしも、受けようとしたなら、寸止めせねばならないのだ。
かといって当たりに行けば、『仕掛けた側』になってしまう。
審判はバルレル。このためだけに引っ張り出したと云っても、過言じゃない。……やる気なさげに見てるだけっぽいけど。
他に勤められそうな人物といえば、レイドだかガゼルだかだが、レイドはまずこういう場所に出るのは得意ではなかろうし、ガゼルも表に出るのは好きじゃないらしい。
で、結論として、魔公子様の出番になったというわけだ。
それに、バルレルの場合、もう一個利点がある。
「――せいやッ!」
気勢と一緒に突き出された拳が、身体を沈めたの頭上を凪いで行く。
逃げ遅れた髪の一本二本にもしかしたら触れたかもしれないが、それはさすがに除外である。
そうでもしなきゃ、髪の長さっていうのは立派なハンデだ。
「たあっ!!」
沈んだ状態のバネを使い、そのままジンガに肉迫する。
あっさり距離を詰められたジンガは、けれど、横手から入れた手刀を紙一重で躱してみせた。
が、それと連続してまわし入れた蹴りは、さすがに予測してなかったらしい。
視界の端にそれを認めて、ジンガが目を見開くのが見えた。
「――!!」
あわてて減速。
停止させた次の瞬間、名残のように空気が動いた。
「ちぇっ、あと一歩だったのに」
「そうそう簡単に当ててたまりますかい」
あたしはこれでも負けず嫌いだ。
「ああ。俺っちもだ」
ふたりはにやりと笑い合い、次の瞬間、大きく跳んで距離をおいた。
だいたい、ジンガの攻撃は重いのだ。以前手合わせしたときよりも、威力は増しているように思う。ほぼ毎日エドスと一緒に石切り場で肉体労働してるんだから、当然だけど。
そんなもんを一発でもくらったが最後、絶対痣になる。
だから避けるのには必死。
でもって、負けたくないから当てないようにするのも必死。
最初発案したときに、ボコボコの殴り合いじゃ見てる方が退くだろうってことで、こうなった。
提案者は誰かなど――ま、云うまでもないだろう。
意外におもしろそうだってことでメニューに組み入れたはいいものの、実はこれ、ぶっつけ本番。
正直に云ってしまえば、ここまで神経使うとは思ってもいなかったのが本音である。
――でも。 楽しい。
「……3」
踵落としよろしく振り下ろされた足を、身体を横にずらして避ける。
そのままわき腹狙って入れた手刀は回避でなく防御にまわられたため、当てる前に止めた。
「……2」
バック転の要領で距離をとれば、相手も深追いしてこない。
視線をそらさないようにしながら、向こうも同様に数歩下がっている。
「……1」
一旦、地に足をつけて。
相手も最後の一歩をおいて。
前に飛び出すための力を、足に溜めた。
「タイムアップですのー!」
キールに召喚してもらったストップウォッチを手にしたモナティが、よりによって、そんなときに声を上げる。
……いや、彼女は素直に『3分経ったら教えてね』っていうお願いを守ってくれてるだけなんだけどね。
だけど。
「――でやああぁぁぁぁあぁぁッ!!」
「はあああぁぁぁぁッ!!」
“タ”とモナティが告げたと同時、ふたりは地を蹴っていた。
彼女の声はどこか遠くで聞こえてたんだけど、ちょっと認識が間に合わなくて、身体が止まらなかった。
教訓。車は急に止まれない。
でもってしかけた突進は、急停止できない。
「お約束なヤツらだな、テメーらはよ!」
ケッ、と、そこに悪態が入り込む。
よりもジンガよりも背の高い、三つ目の青年の姿とともに。
――二つ分の激突音が、ちょうど重なって、ひとつに聴こえた。
「…………」
「…………」
静寂。
とジンガの荒い息が、ちょうど、リングの中央あたりで響くばかり。
「モナティ、タイムアップって云いましたのに〜」
むぅっとむくれたモナティの傍で、ガウムが慰めるように飛び跳ねた。
「てか、聞こえねえくらい熱くなってんじゃねぇっつの」
迫るふたりのちょうど真ん中に割り込んで、突き出された拳をふたりぶん、それぞれ片手で受けて流したバルレルが、やっぱり眉をしかめてつぶやいた。
それでもきれいに力を流しきれず、右手と左手はそのまま押されて相手側のほうへクロスさせてしまっている。
そう。
バルレルでもなけりゃ、周りが見えなくなる危険性のあったこのふたりを、止めることが出来ないからだ。
「……えへへ」
「へへっ」
はあ、と大きく息を吐き出して、とジンガはそれぞれ笑いながら身体を退いた。
地面についた手は汚れてるけど、汗で髪は額にはりついてるけど、彼らの身には傷ひとつついていない。
「んで……減点は?」
勝敗の行方はと問うと、
「見りゃ判るだろ」
と、実にあっさりしたお返事。
そうしてふたりは改めて、傷ひとつもない相手の身体を眺め、自分の身体を眺め――
「「引き分け?」」
そう、つぶやいた瞬間。
わあっ、と、それまで静寂に満ちてた観客さんたちが、一斉に声をあげた。
「すごいね、あんたたち!」
「いつかの賭け試合より、臨場感あったよ」
「相手にいつ当たるか、とてもハラハラしたもん!」
「戦いっていうより、舞みたいだった!」
「そこの三つ目の兄ちゃんも大したもんだよ、あんなトコロに入り込むなんて!」
――etc.etc.
おさわりはご遠慮ください、と云うより先に取り囲まれ、すでに身動き不可能。
しかも次々投げられるおひねりが、狙ったように脳天に当たったりして、もう笑うしかないというか。
ガウム、ゴー。
「きゅ」
こっそり出したサインに応え、モナティの傍で跳ねていたガウムが行動開始。
詰め寄る人々の足元をすり抜けて、落ちた小銭をぽいぽい自分の身体につくったポケットに放り込んでいく。
ある程度溜まればモナティの帽子へ。
もっとも、その帽子でさえ、さっきからおひねりを投げ込まれる臨時賽銭箱みたいな状態なんだけど。
そこに、
「――ところであんたたち、大道芸人なのかい?」
この間から、街でよく姿を見かけるけど。
ぽん、と投げかけられる質問ひとつ。
たち、一瞬の間に顔を見合わせ、アイコンタクト。
そのココロは「来た!」
当初の打ち合わせどおり、はにっこり笑って首を振る――横に。
「いいえ、違うんですよ。あたしたち、こういうことやるの、これが初めてなんです」
「俺っちは、賭け試合やって旅の路銀稼いだりしてたけどな」
「モナティたちは、別の世界から来ましたのー。それで、この間までサーカスの団長さんにお世話になっていたんですけれど」
あ、ジンガさんは、リィンバウムのお方ですけど。
「きゅっきゅきゅー!」
いや、ガウム。それじゃ人様にはわからないから。
思わずツッコミ入れたの横で、モナティがそれを通訳する。
「でも、置いてかれちゃいましたの。それで途方に暮れていましたら、フラットのマスターたちが拾ってくれましたの!」
だから、ご恩返しに、こうして皆さんにいろいろお披露目しまして、食事のお金とかを稼いでいるんですの。
ぽわぽわ微笑むモナティと一緒に、もにこにこ微笑んだ。
秘技・他人の事情と一緒に微笑んでなしくずしに既成事実作成作戦。
リプレやガゼルが云っていた。
レイドもエドスも、それぞれの職場でそれを聞かされた。
――スラムに、なんだか人間じゃなさそうなのがうろついてるゾ、と。
それについて否定はしない。
それぞれの世界における“一般人”の定義なんて違うのだから。
実際、ここにいるジンガ以外、全員、余所の世界の住人だし。
……それを、デメリットだとか負担だとか、思ったこともないけれど。
けれど。
そんなふうに噂が出回ってる以上、いつまでもこそこそしてるのも妙な話だ。
計画を立てたのはリプレ。
ノッたのは、ハヤトたち、あと。
渋い顔してたバルレルは、「まーちゃんがいちばんそれっぽいだろーが」という説得で陥落させて。
フレンドリィに大道芸をやったあとなら、多少出自がアレだろうが、問題視はされないだろうと。
モナティの理由が一番妥当だから、彼女にしゃべらせてあとは黙って笑ってろと。
勘違いするのは向こうの勝手だと。
後半ふたつの助言をくれたのは、苦笑して成り行きを見守っていたソルたちだった。
「……まあ、そもそもの根本的なあの問題に抵触しないなら、堂々と行動できる理由をつくっておくのも悪くないさ」
特にサーカスからかっぱらった形になってるモナティたちと、どう考えても自然発生では誤魔化せないまーちゃんは。
先日、カムラン・マーンと接触した事実もあることを考えると、先に街の人たちを味方にしたほうが有利。
そうかあ、と。
質問を投げた観客が、なんだか感慨深げに頷いた。
「召喚獣ってもっと遠いモンかと思ってたけど、あんたらみたいなのもいるんだねえ」
こんな手触りのいいのとか!
「きゅきゅー」
ぷにぷにガウムをつっついて云う彼は、なんだかかなり表情が悦っておられる。
ガウムありがとう。大活躍だな。
難があるかと思われたバルレルも、必死に自制しているようだ。
珍しげに伸ばされる手を、ひょいひょい躱してはいるけれど。……おひねりの一部で、あとで美味しいお酒おごるからね。
「最後の演舞、またやってくれるかい?」
スピード感臨場感緊張感、どれとっても楽しかったよ。
「はい、また機会があれば是非」
「俺っちたちの神経が擦り切れるから、あんま頻繁にはやらないけど」
それは云えてる。
あはははは、と、巻き起こった笑い声の陰で、
「……擦り切れる前にブチ切れてマジに戦り合うほうが早ェだろ」
と、こっそりつぶやくまーちゃんの姿もあったことを知るのは、たぶん、本人ばかりなり。
とにもかくにも、一座の唐突大道芸、これにて閉幕。