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名もなき話

:

「オレもな、旅に出たときは何か目的があったわけやない」
「わたしと一緒じゃない」
「そうかもしれん」

「ただ……今は、オレの故郷を見てみたいな、思ってる」
「故郷?」

「【大和】」





 世界地図の中央には、小さな小さな点がある。
 どの地図を広げても、小さな小さな点がある。
 印刷のミスでもないし、誰かが原稿に落書きしたわけでもない。

 それは、封じられた島だという。

 シンがまだ、小さな子供だったころ。罪ある者が、心無き者が、沈めてしまった島だという――


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