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風王は、炎の子に問いかけました。 「次代の炎王たる力のおまえがどうして、旅などしている?」 「俺は水の資質を抱えているから、王には不適らしいんだ」 だから追放された。 そう云って、炎の子は笑いました。 「大地に育まれた風王、あなたなら判るだろう?」 風王も笑いました。 「まさに。相反を憂う者たちなどもう見飽きた」 ふたりは笑いました。 「対極は相容れぬモノではない」 「対極はひとつのモノの端と端」 「表は見る者によって容易く裏と変じる」 「裏は捉える目によって表へと変じる」 くつくつ、くつくつ。ふたりは共謀の笑みを浮かべます。 「風は炎をより強く盛らせる糧となる。私はおまえに手を貸そう」 「炎は風を生み出す力となる。俺はあなたにその未来を誓おう」 彼らは語る。 厭うなかれ忌むなかれ。 相反を矛盾を抱ゆることを。 なればこそ、なればこそ。それ故にこそ。 それ故にこそ、世界は生まれたのだと彼らは語る。 |
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