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 どうしてそんなに、絵を描くことが好きなの?
 ――そう、訊かれて。
 描くのが好きだから、と 答えにならない答えを返して。

 空想が好きな子どもだった(それは今もあまり変わってない)
 手元に残ってる最古の絵。
 こういう家に住みたいなと、思いながら描いた記憶。

 本を読む。物語に入り込む。
 思いが高じて、お話の中の彼らと一緒に動きたくなる。
 ――想像する空想する
 溢れ出しそうになる。
 それらを外に出すために、とった手段は絵を描くということ。

 原型のある彼ら。
 可能な限り再現したくて、模倣を繰り返す。

 わたしの分身。
 お話の中で彼らと動く、零から生まれたオリジナル。

 そうして、自分だけの話をつくりたくなる。
 オリジナルのキャラクターが、お話が、生まれ始める。
 そうなるまでに、時間は?
――あんまりかからなかったみたい。と、笑って云う自分が居る。

 心に浮かぶ、いろいろなものの断片を。
 絵を描くことで(字を綴ることで)、表現しているのかもしれない。
 何かを誰かに伝えたいのか? よく判らない。
 ただ、気持ちの生まれるままに向くままに描いている、それだけなのかもしれない。

 白い紙を目の前に、じっと絵のことを考える。
 絵にまつわる物語を考える。
 ――しあわせ。

 ただそれを感じていたいから、絵を描いているのかもしれない。

 深い理由なんてなく、確固とした信念を思ったわけでもなく。
 ただ、その瞬間が好きなだけなのだろう。

  絵を描くことが好きだから、絵を描いているのが好き。
  わたしが絵を描く理由なんて、きっとそんな単純なこと。





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