――あたしにとって、それは、本当に突然だった。
迸った光も、
世界を渡ったことも、
優しい家族から離れたことも、
愛しい家族を得たことも、
新しい生活を始めたことも、
……記憶を失ったことも、
大好きなたくさんの友達と出逢ったことも、
二度と逢えないと思った幼馴染みと再会したことも、
傍にいるはずだった人たちを敵としたことも、
――遠い魂ひとつと共に在ることも、
銀の悪魔と白い焔、ふたりに互いを返したことも、
……時間を越えたことも、
遥か西の地辺境で誓約者の奇跡を知ったことも、
遠く忘れられた島で知らなかった因縁を知ったことも、
環を、そして、繋げたことも、
何もかもが、突然だった。
そして偶然で必然だった。
あたしが自分で歩いて進んでそうして引き寄せたものだった。
……あたしは忘れない。
幸福も不幸も喜びも哀しみも有益も無益も道理も非道も何もかも、
すべて自分がその糸を手繰り、引き寄せていたということを。
だからけっして否定はしない。
悔いても泣いても叫んでも、なかったことにだけはしない。
何もかも、すべて、あらゆるものは、あたしが選んで引き寄せた。
あたしは、あたしが選んで、ここにいる。
「――――あなたも」、
あなたが選んで、あなたがいる。
忘れないでね、どうか。
歩け。誇り持ち進め。
いつもいつでもいかなるときも。
あたしを決めるのはあたしだけ。
あなたを決めるのはあなただけ。
いつもいつでもいかなるときも、
あたしもあなたも在ろうと選んでここにいる。
最初の選択。
続く選択。
幾つものそれを繰り返し。