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・歩き続ける・ |
たとえ汚濁にまみれても、 たとえ血泥にしずんでも、 たとえ深遠に墜落しても、 たとえがんじがらめに縛られても、 ただ、この意志がこの魂が、強く自分で在るのなら。 まどろみも好き。 うたたねも好き。 ゆるやかに流れる時間も好き。 けれど、通過点にしか過ぎぬ終着に、留まることだけは嫌。 終わりなどない。 永遠もない、永久もない。 変わらぬものなどひとつもない。 始まりだけがいつもある。 ただそれだけを、知っている。 そうしてたとえば、 彼女は云う。 「あたしは、ほら。単に、突っ走るしか能がないわけだし。ブレーキ知らず?」 彼女は云う。 「わたしは――知りたいから、かな。禁忌に触れてもここにいれる意味」 彼女は、 「退屈嫌いだし。異端者認定でわたしの何が、どう変わるわけでもなかったしね」 彼女は云う。 「大事なきょうだいと、一緒だから。わたしがわたしでいる限り、一緒にいたいから」 彼女は、 「見てみたいんです、わたし。あのひとたちがつくる世界、いつか辿り着く場所を」 彼女は、 「私――は、……こんなだけど、それでも、いや、それだから止まりたくないなって」 向かうは各々の見据える先へ。 たとえ苦痛に苛まれても、 たとえ屈辱に蝕まれても、 たとえ全てが変わり果てるのだとしても、 ――――進む。先を。臨み。続ける。 選択。 いつもいつでも、いかなるときも。 単純に。 止まるか進むか。原初の問い。 ――常に選ぶは、立つ場所の先。前へ。ただ、前へと。 |
夢、ではないけれど。 彼女らの、心持ちを少々。 ただいつでも、強く真っ直ぐでなくても、泣いて挫けても、そうあれるように。 ……書いた奴にとっては、ある意味、彼女らの“そう”である覚書。 |